2024年6月26日水曜日

桃太郎の続き。掲示板に移したから下げてたけど、微妙に違うから再公開したよー。

 ( )カッコ内は全部小声です。

 スミスとルルに、桃太郎の説明をすることになった。


「⦅中略⦆こうして桃から生まれたので、桃太郎、と名前がつきました。桃太郎はすくすくと育ち――」

「え?人ってモモから生まれるの?」

「そ、それはね」

(子供からされて困る質問、ぶっちぎり1位のやつ!どうやって躱しましょうか!?)

「なぜ桃太郎は桃から生まれたか。それはややこしくなるから帰ってからにしよう。ヒビキ、続き頼む」

(上手いぞイサミィ!深入りさせずサラッと流した!)

(でもこれ、問題を先送りにしただけじゃないですか?)

(カトウ。スミス。ルルに聞かれたら適当にそれっぽい説明してくれ)

(丸投げされたー!)

(ルル、夜には忘れてくれ!)


「私は人々を苦しめる鬼、ええと、デーモンみたいなやつね。鬼を退治してきます!こうして桃太郎は――」

「鬼は何したの?」

「え?」

「どんな悪いことしたの?暴れるの?」

(どうしよミユ?そんなの気にしたことないんだけど)

(特撮だ!ルルちゃん特撮が好きだから気になるんですよ!適当に悪そうなこと言って!)

「適当って……。えーとね。お金を盗んだり、人を誘拐したりするの」

(やたら現実的な悪さだな)

(すぐ思いつくかー!)


「おばあさんが作ったきびだんご、あー、甘いライスボールみたいな食べ物なんだけど、きびだんごを持って行きました」

「おじいさんは?おじいさんは何するの?」

(爺さんは芝刈りしただけだよな)

(桃拾ったのも、きびだんご作ったのもおばあさんだよね。おじいさん何してんの?)

(ここはカトウミユ、いきます!)

「おじいさんはですね、桃太郎に自分の鎧や刀をあげました。実はとっても強い人で、桃太郎の武術の先生だったのです!」

「おおっ、シショーだな!」

「シショー!」

「『お前に教える事は何もない。行けい、桃太郎よ!悪を成敗するのじゃ!』

 こうして桃太郎は旅に出たのです」

(盛ったなー)

(盛ったねー。そっか。そういうのでいいのか)


 その後も、ルルからのツッコミは続き、その度に話を盛るヒビキ達。

「犬、猿、鳥。仲間少ない」

「大丈夫!ケルベロスとキングコングとフェニックスぐらい強いから!」

(男子小学生か?)


「どうやって仲間になったの?」

「おばあさんからお団子もらったでしょ。それをあげると『ありがとう!あなたと一緒に戦います!』ってなるの」

「それだけで言う事聞くって、ダンゴになにか薬でも?」

「正義の味方なんで薬とかじゃないです。とにかく美味しすぎて言う事聞きたくなるだけで」

「それはそれで怖いな!」

「そうそう。それでおばあさんは魔女じゃないか疑われて、当時護衛だったおじいさんと逃げたの。実はおばあさんは――」

(ちょ、ヒビキその辺で!)

(ダメ?実は高貴な血筋のパワーで、とか考えたんだけど。そういうの好きでしょ?)

(好きですけど話が広がりすぎるし、桃太郎の影が薄くなっちゃう!)


「犬は番犬だったんだが、人懐っこいからクビになった」

「お腹減った時に美味しい物くれたから、感激して着いてきちゃった」

「なるほど。番犬に向いてないな」


「大猿は口にダンゴをつっこんだんだ。アトラトル、ええと、槍を投げる道具で」

(おじいさんの設定が生きた!)

「アトラトルで口の中を狙うって、仕留める気じゃないか

「じゃあ、ダンゴを丸太の先にくくりつけて突撃した」

(急に脳筋になった)


「フェニックスにダンゴを全て燃やされ、桃太郎が諦めかけたその時、おばあさんがやってきました」

「『待たせたね!きびだんごの追加だよ!』」

(なんで女傑に!)

(特撮見ないから、ジブ〇とバタ〇さん参考にしたんだけど、こういうのじゃないの?)


「こうして桃太郎たちは鬼ヶ島へやって来ました」

 やっとここまできた。長かった。

 感慨に浸るヒビキ達を余所に、ルルの更なるツッコミが。

「鬼は何人いるの?ショーグンとか、ハカセとか、あと女の人もいるよね?」

 ギブアップした。

「さっきまでの話は無しで!」


~改めて桃太郎を説明~

「ヒビキ達が言ったのが面白かった!スミス、ルル達でシテンノー作ろ!」

「いいな!パワー系、テクニック系、エスパー系も欲しいな」

「とりあえず、遊園地回ろ?」